2011年6月18日土曜日

039 【書感】生き直し

夜明け・夏

コピーライター・山内真太郎さんの「生き直し」。
サブタイトルは、”「ダメな自分」を自力で変える ことば・デジカメ・ノート術”。

この本もジュンク堂でぷらぷら背表紙を見ながら歩いて見つけた。マーケティングのコーナーにあった。ネットなら意識しないと見ないカテゴリー。だからリアル書店はおもしろい。

□■「生き直し」ってなに?■□
あの日の自分に、自慢できる大人になろう。 
これが本書のテーマです。
「生き直し」とは、あなた自身の中にある「できるのに、やらなかったこと」「できるのに、やろうとしていないこと」を見つけ出して、「やろう」と決め、実際に「やる」ことです。

山内さんは、乱れた生活が習慣化した頃に婚約破棄という大ダメージを受け、それをきっかけに先送りにしてきたことをやる決意をしている。ここまで壮絶な人生でなければ、つまり普通の人ならば、佐々木正悟さんの「いつも先送りするあなたがすぐやる人になる50の方法」で十分効果が得られると思う。

壮絶な体験がなくても「意志が弱くて・・・」という人には、こちらの「生き直し」でガツンとやるのもいいかも。

また、「生き直し」の必要がない人でも、第3章のコピーライター流「ことば」術は、生き直し用のキャッチコピー(モッチコピーというらしい)の作り方が細かく書いてあるので、単に「キャッチコピーの作り方」として読んでも参考になると思う。

□■グッときたところ■□

さすがコピーライターだけに、ひとつひとつの「ことば」(「言葉」じゃないところがミソ)にこだわりがある。「生き直し」は、「生まれ変わる」のではない(一度死なない限り無理)。「自分探し」でもない(自分の外に探しても見つかる可能性は少ない)。

なかでもグッときたことばが、これ。「生き直し」の根本となるもののひとつとして挙げられている。

たとえよくないことがあったとしても、それまでの自分の人生を否定するのはやめよう。

□■まずは目標設定■□

第2章では、目標を設定するための5ステップが紹介されている。
自分的には、STEP2はSTEP4の後のような気がするのと、3つの目標すべてが同じ期間で終わるのかな?と思うのだが。

STEP1「なりたい自分」を書き出す
・文字やことばには「言霊」が宿る。「〜したい」ではなく、「〜する」という強い意志を持って書く。
・今までの自分の人生を元にして行うものだから、無茶なものではなく、努力すれば必ず実現できるものを設定する。
・お金がかかりそうなものは、費用対効果まで考える。

STEP2「生き直し」完了までのタイムリミットを決める
・長いと飽きるので、半年以内で設定する。

STEP3「なりたい自分」を整理する
・本書で提案しているチャート(心・体・夢という3つの観点)に、STEP1で書き出した「なりたい自分」をプロットする。

STEP4「なりたい自分」を選び出す
・STEP3で書いた中から、上位3つを選ぶ。

STEP5「なりたい自分」を信じ抜く
・「なりたい自分を」を現実のものにするために、最後まで自分を信じ抜く。

このSTEP5でグッときたところを2つ挙げてみる。

人が何かをはじめようとするとき、もっともハードルが高いのは「実際にはじめるまで」です。だけど今「目標を設定した」ということは、すでにスタートラインに立っているということ。実はもう、「実際にはじめてみる」という最難関のフェーズは終わっていたのです。

目標に向かって走り始めた自分自身を、信じ抜きましょう。大丈夫、「生き直し」は、努力すれば100%実現できるのですから。あなた自身が「できる」と判断したことです。きちんとやれば、絶対にできる。迷う必要なんて、どこにもありません。

また、最後のまとめにあったことばは、後に出てくるノートに貼っておくといいかも。

何かをはじめるときにもっとも難しいにのは、重い腰を上げること。だけどあなたは、もう腰を上げている。自分を信じよう!あなたはできる!絶対に!

□■「生き直し」専用ノートを作る■□

この本でもノート術が出てくる。
「モッチコピー」と「進行状況がわかる写真」を補完するものとしてノートを使う。この書き方が独特。

・A5またはA6の小さなノートを用意する。
これは携帯に便利であること、ふと思ったことを書くのにさっと取り出せること、すぐにページが埋まるから「やっている」という実感を得られることが挙げられている。

・ノートに名前をつける。
「文字やことばには言霊がある」と言う筆者らしい考えで、名付けることによってノートに役割を与えるのだそう。愛着もわくしね。

・表紙のウラにモッチコピーを書く。
よく目につくところに書いておけば、モチベーションを思い起こすことができるから。1ページ目ではなく表紙のすぐウラというところがミソ。

・1ページ飛ばして、2〜3ページ目にカレンダーを作る。
こうすると見開きになるから。ここに生き直し期間として設定した分のカレンダーを作る。書式は任意。Excelで作って貼り付けておくのが楽ちんそうだ。

・4ページ目以降が「その日に何をしたか」を書き込む。
ただし1日1ページを厳守。書くことがなくても、翌日は次ページ。これは進行状況を見える化するため。

・「余白」であることの意味。
やった日、やらない日、やらなくてもいい日が一目でわかり、そこから気づきも得られる。「余白=悪」ではない、という考えは今まで目にしたことがなかったので斬新に感じた。

なお、ノート術の他に記録用の撮影術の章もあるが、写真をよく撮る人は飛ばしてもいいだろう。
「生き直し」でなくても、記録用の写真を継続的に長期間撮らなければならないという特殊な状況になった時には、「同じ構図で撮る」「撮影の際の光に注意」というところは参考になる。どんどん増えていくものを撮るときには、最終的に増えた状態を考慮して構図を固定しておく、というのはコロンブスの卵だった。

□■やり遂げるためのヒント集■□

ここでは継続テクニックが紹介されているので、各自グッときたところを実行してみるといい。
自分としては、以下の手法をやってみようと思った。

・「足跡確認」法
ノート、写真、モッチコピーを頻繁に見返す。

・「自己肯定」法
がんばった自分をほめる。すぐ「自分はダメダメな奴」と自己否定しがちな人はぜひやってほしい。

・人に公言しまくる「エール獲得」法
最近、ブログなどで「ダイエットします!」など公言して応援してもらう、公言して退路を断つという手法をよく目にするようになったが、それと同じ方法。ひとり胸の内に秘めてしまうと、できなかったときに「まあいいか」、あるいは「だれも知らないからやめてもいいよね」となりがちで、こうした甘えを断つ方法だ。まだ内緒だが、自分も近々これをやろうかと考えている。ダイエットではないぞ。

□■「生き直し」が終わったら■□

最後の章は、「生き直し」が終わった後のこと。

・自分を褒めて、自分にごほうび。
これはいろんな継続本にあるが、この本の筆者も「オーソドックスだが、『鉄板』な方法」と提唱している。

・復習する。
ノートや写真を見返して、どれだけ自分ががんばったかを振り返ってみる。そこからまた新しい発見もあるだろうし、「こんだけのことをやった自分、すげー」と自信にもなる。

・せっかく作ったモッチコピーはこれで終わりにせず、人生の「お守り」とする。
これからの人生の指標にもなるだろうね。

・次の目標を決める。
さて、次は何を「生き直す」?


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