2011年6月19日日曜日

040 【書感】残念な人の仕事の習慣



「残念なり」

038の書感の「残念」つながりで、今回は山崎将志さんの「残念な人の仕事の習慣」を。
これで、038のエントリーで「6月20日までにはなんとかアップ」と宣言した「公約」は果たせたぞ。

まず、この本で言うところの「残念な人」の定義から。

やる気も努力も十分なのに、物事を考える・行動するにあたっての「前提条件」が間違っているために、結果が今ひとつになっている人のこと。

これを踏まえて、グッときたというより「おや?他の仕事術の本とちょっと違うぞ」と思ったところを挙げてみた。

□■「おや?」と思ったところ■□

まずは第3章「時間の使い方編」から。

・残念なタクシーに乗る人は、残念な時間を使っている人

これは先に紹介した美崎さんの「残念な努力」に出てきた残念なタクシーとはちょっと視点が違う。道を知らないタクシー運転手が残念なのではなく、それに乗った人のほうが残念だというのだ。

道を知らない運転手かどうかわからずに、やって来たタクシーにやみくもに乗り込むのが間違い。なぜ、特定の個人タクシーの運転手(過去に乗ってみて良かった人)やMKタクシーなどを選ばないのか、と。ちょっと思考が飛びすぎている感もあるけど一理あることと、美崎さんとの対比で載せてみた。
ちなみに「一理」としたのは、自分も一度乗ってとても良かったタクシーの運転手さんを指名していたことがあるから。

・18時に終わって何をするのか
仕事を早く終わらせようと、整理術や段取り術など、やり方をまず探す人が多いと思う。
実際に夕方6時に仕事を終えてオフィスを出たとして、いったい何をすればよいのだろうか。
遅くまで会社で仕事をしている人は、仕事を早く切り上げてまでやりたいことがない、という傾向にあると思う。
つまり早く終わらせるインセンティブがないのである。

そうか、だらだら残業にはこういう理由があったのか。

次は戻って第2章「コミュニケーション編」から。

・受け身の人のノート術

筆者がノートを取るのは、自分の考えの整理、アウトプットのとき、ToDoリストを整理するときの3つだけだそうだ。議事録担当でも雑誌のライターでもないのに、会議や打ち合わせで人の話を延々とメモっているのは受け身の姿勢だという。

人の話や印象に残った言葉、キーワードを忘れてはいけないというプレッシャーも理解できる。しかし、本当に印象に残ったことは頭の中に入っている。紙を見返さないと忘れてしまうようなことは、忘れても問題がないのだ。より重要なことは、必要な時にそれらを思い出せるかどうかであるから、後で思い出せるような記憶の仕方が必要だ。だから、ノート術がうまい人は、ノートを書いた時点でもう頭に入っているから、二度と見返さないのだ。

うーん、自分はそんなに記憶力が良くないし、書いた時点で「書いてあるから忘れても大丈夫」と安心して忘れるから、二度見、三度見はする。
あえて同調できるところを探せば、ここで挙げているのが会議でのノートの取り方だけなので、確かに全部書く必要はないとは言える。
だが、筆者のこの書き方では、世間に出ているノート術をほとんど敵に回していないか?

□■グッときたところもある■□

この本の全部が全部、「おや?」「え?」ではない。グッときたところもある。

・上司から「どう思う?」とだけ聞かれたら、隠れている前提条件を考えよ。

・「〜になりました」という報告はあり得ない。モノや結果が自然に「なる」わけがないから。

・言いたいことや思ったことがあったらすぐに言わないと気が済まないという習慣は考え直すべき。例えば、かちんと来るメールがきたら、すぐ返事を書いても絶対送信しない。要は相手にどうこうしてほしいのではなく、自分自身が納得したいだけなのだから。

・やりたい仕事があるなら、固定給がある間にやってみる。そうすれば、会社を辞めて起業したけど失敗した、といった場合のリスクは減らせる。

・「1年前と違う仕事をしていますか?」「10年後、この仕事をしていて何が変わりますか?」と自問してみる。

□■なぜか「理想の書店」像■□

残念な書店の習慣を紹介した後に、筆者が「こんな書店があったらいいな」を提案している。

・レジを清算機能のみとコンシエルジュカウンターのふたつに分ける。

・ブックカバーは必要な人だけのセルフサービスに。あるいはカバー掛け専門のカウンターを作ってレジ混雑を緩和させる。

・カバー掛け専門カウンターでは配送業務も行い、会員登録していればケータイの番号を申告するだけで配達伝票が作成できる仕組みにする。配送料は電車賃程度にする。

・出入り口は同一とし、そこに傘や手荷物預かりのカウンターを置く。こうすると手ぶらで本を探せるし、万引き防止という効果も。

・客からの問い合わせはすべてコンシエルジュカウンターで行えば、品出しをしている店員の作業が中断されることもなくなり、客も申し訳なさそうに話しかけなくても済む。

・コンシエルジュカウンターには馴染みのブックアドバイザーがいて、常連さんの好みを把握しているのでそれに合った本を紹介してくれる。時にはメールでも個別に情報提供をしてくれるほか、Twitterやブログでもブックアドバイザーの個性を活かした情報を提供してくれる。

自分としては、最近の書店にすでにあるけど、もうふたつ追加したい。

・ベンチを置く。
・棚と棚の間の通路を広めにとる。

でも、こんな書店が実際にあったら、終日滞在しそうだ。

□■おわりに■□

どことなく各エピソードが寄せ集めて作られた感がある。章のタイトル「○○編」に続くサブタイトルが、中身の一部を示しているだけだからかもしれない。例えば、最初に挙げた第3章「時間の使い方編」のサブタイトルは「残念なタクシーに乗り込む残念な客」だが、そのなかに、残業しないで早く帰る方法が書かれていたりする。サブタイトル、いらなかったかも?

それでも、各エピソード自体はおもしろいので、このサブタイトルとの不一致を気にしなければ、「こういうの、あるある」と納得しながら読めると思う。

それにしても、山崎さんの理想の書店、ホントにあったらいいな、と思った。ここに一番グッときたかも。




【書感とは?】
もの書き写真堂の造語。
書評と言うにはおこがましいので、本を読んだ感想や、実際に本の内容を試してみたことなどを書いた記事のことを指す。
書評と感想の間くらい。「所感」にかけている。

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