2014年2月26日水曜日

0746 スペックだけでカメラを選ばない〜FUJIFILMイベントでグッときたフリーカメラマンの話

2014年2月23日、「X」新製品イベント 「X-Photographers × X-Lovers Festival」が札幌で開催され、フリーカメラマンの相原正明氏のトークショーを聞いてきました。

もの書き写真堂、現在はFUJIFILMのカメラを持っていませんが、以前コンデジ購入を検討した際にX20を候補に挙げていたこと(0444 デジカメを買い換える・コンデジ編その1〜望む性能は何か?)、最近のXシリーズのミラーレスもちょっと気になること(液晶画面がチルト!)、昔から富士のフィルムと印画紙を使っていたことなどから、これは何かおもしろいことが聞けるかもという予感がしました。

加えて、トークショーに出演の相原先生のプロフィールを見ると、「オーストラリアへバイクの砂漠横断に行き、そのままオーストラリアのとりことなる」とありました。
もの書き写真堂も趣味でワイルドフラワーを撮りに西オーストラリアへ何度も行きましたので、これは聞かねばと直感が訴えました。

お話は、相原先生が使用しているXーT1の試作機での撮影の話、FUJIFILMのカメラの絵づくり、色の話などを中心に、スライドで作例を見ながら進んでいきました。
その中で、もの書き写真堂がグッときた項目と、X-T1の特徴などを自分用メモとして忘れないように書き留めておこうと思います。
(今回のエントリは久々に長文です。)

1 偏光フィルターは使わない
水面の反射を抑える時などに使う偏光(PL)フィルターですが、相原先生は使わないそうです。
  • 偏光フィルターを付けることで、高額なレンズも1〜2万円程度のレンズのレベルまで性能が落ちる。
  • カメラメーカー、レンズメーカーはフィルタを付けたときにどう写るかまで想定してレンズを作っているわけではない。
メーカーは何も付けない状態でベストな写りを追求しているわけですから、試作機のテストのときはもちろん、通常の撮影時にもフィルターは付けないそうです。
「テスト以外の撮影時にはレンズ保護の目的でフィルターを付けることもありますが、『ここぞ』という撮影の時は外して写します」

2 ひとつのカメラで万能を追うのはムリ
オールインワンを求めてハイスペックのカメラを購入するのではなく、このカメラは何が得意かを見極めて買う、使う。つまり、「自分は何を撮りたいのか?」を明確にしてカメラを選ぶことが大事なんだそうです。

確かに、自分の要求をすべて盛り込もうとすると、あっちを立てればこっちが立たずな状態になるというのは、先日のコンデジ選びで痛感しました。
でも、一般人がそんなにたくさんのカメラを使い分けるのも予算的にも大変ですので、どこかで線引きしないとなりませんが。

3 写真はカメラのスペックで撮るものではない
  • スペック比較記事にはピクセル等倍でどう写るかなどの話がよく出てくるが、これはカメラを作る技術者の話。
  • スペックよりも写真をアートとしてとらえ、写真をどう見るか、何が写っているか、何を表現するかが大事。
前項に関連しますが、カメラを購入する際にはカタログなどのスペックに目が行ってしまいますよね。それも大事ですが、自分は何を写したいのか、それに最適なカメラはどれかということなんですね。

4 レンズも性能だけで選ばない
  • カメラと同様、レンズもどれだけ明るいかなどのスペックだけで選ばない。被写体をどう味付けして撮るか、撮影者の表現したい色を的確に出してくれるレンズを選ぶのが大事。
  • たとえば速い被写体を撮るのでなければ、多少暗くても好みの色を出してくれるメーカーのレンズを選ぶ。
そういえば、レンズを選ぶ時に開放値f1.4とか、ズームレンズの場合だと全域f2.8など、明るさにこだわる面がありますね。
もっとももの書き写真堂が撮る被写体は猫とかスポーツ、エアショーでの飛行機など動きのあるもの、猫ならさらに暗いところにいることが多いため、なるべく明るいレンズがほしいですが。

5 モノクロ写真は、画像変換ではなく最初からモノクロモードで撮る
  • カラーで撮った写真のRAWデータをモノクロに変換にするのではなく、最初からモノクロで撮ること。
  • できれば横着せずに、同じ場所をカラーとモノクロの2種類で撮影すること。
カラーとモノクロでは、同じ場面でも明るさ、コントラスト、露出の設定が違ってくるからなんだそうです。

また、カラーで撮影しても何の変哲もない風景がモノクロでドラマチックに変貌するときもあるので、両方おさえて撮る意味はあるそうです。特に人物写真はモノクロのほうが味が出るのだとか。

6 記憶色は大事
相原先生は昔、FUJIFILMから1本200万円もする手作りフィルムで試験撮影をしたそうです。撮影後、メーカーの担当者から「どう見えましたか?」「撮りたかった色は何ですか?」「心に残った色はなんですか?」と必ず聞かれたそうです。
それは「記憶色が大事だから」。

色というのは、心の中の記憶が元になっており、人が育った環境によって同じ風景でも色が違って見える、感じるということなんだそうです。これが撮影した後にある人が見たままだと思っても、人によっては「実際に見たものと写真の色が違う」ということが起こる理由なのだとか。
それゆえに自分の好みの、思った通りの色味を出してくれる、絵づくりをしてくれるカメラとレンズを選ぶのが大事ということですね。

以上、撮影全般のお話の中からピックアップしました。
次に、X-T1のお話をざっくりまとめます。

この機種の良いところは、
  • 防塵、防滴、マイナス10度の耐低温
  • ファインダー倍率が0.77倍。
  • ホワイトバランスが良い。
  • AFも従来のXシリーズと比較するとかなりよくなった。
  • それらのおかげでISO6400が日常使いになった。
  • フィルムメーカーならではの膨大なプロファイリングデータに基づく色作り、絵づくり。
  • 「白」に強い。反射した淡い色も良く撮れる。
  • 露出補正、ISO感度、シャッタースピードがダイヤル操作なので、手袋をしていてもOK、どう回したら何の数値になるか体で覚えてしまえば、カンで動かせる。
  • X-T1に限らず、X系は食べ物の写真がうまく撮れる。

相原先生は、今回のトークショーの前に道東などで撮影をしたそうですが、風のある氷点下10度での長時間撮影でもX-T1は音を上げなかったそうです。カメラマンのほうが音を上げたとか。

また、絵づくりという観点では、フィルムシュミレーションが前述したとおりフィルムメーカーならではとのことで、
  • 曇った日にはASTIA(アスティア)
  • 冬(雪や氷)の冷たさ、重さを出すにはVelvia(ベルビア)よりASTIA

フィルムカメラ時代にASTIAやVelviaを使った人にはグッとくる名称ですが、実際にそのフィルム時代の特色が出ているそうです。
実際、ASTIAモードで撮影した写真をプリントして展示したところ、あるカメラファンが「やっぱりフィルムのASTIAで撮ったものはいいですねぇ」と感想をもらしたそうです。

冬の風景を撮るにはなんとなくVelviaでばりっと撮ったほうが良さそうに思いますが、Velviaだと周りの脇役の色もはっきりと撮れてしまって逆に冷たさが強調できなくなるのだとか。ASTIAのほうが他の色が抑え気味になるので、冬の主役の色が引き立つそうです。

逆に、Velviaは水面に映る赤い色や、地平線付近の赤から空への濃紺という夕焼けのグラデーションがきれいに出るそうです。

最後に、教えていただいたちょっとしたTipを。

家電量販店などに置いてあるデジタルプリントマシンですが、FUJIFILM製のものはXシリーズで撮影した写真データに合わせて調整してあるので、このカメラで撮影した写真をプリントするには最適だそうです。前もってレタッチしなくてもきれいにプリントできるそうですので、Xシリーズユーザーはお試しあれ。

また、X-T1の製品カタログの5ページ目の写真は相原先生が撮影したものです。カタログ写真は世界共通のものを使うということで、「じゃあ日本的な風景を」と思ったときに道頓堀が浮かんだそうです。でも、看板そのものを撮ると著作権やらなにやらが絡んでくるため、道頓堀の川面に映ったところ、風が吹いて水面が揺らいだ瞬間を撮ったそうです。
(トークショー終了後、参加者はその写真にサインをしてもらいました。)

【写真展情報】
2014年2月28日から3月5日まで、相原正明先生の写真展が「富士フィルムフォトサロン札幌」(札幌市中央区大通西6丁目1番地 富士フイルム札幌ビル1階 TEL 011-241-7366)において開催されます。
相原先生は期間中、会場におられるそうです。


富士フイルムフォトサロン札幌 | 富士フイルムフォトサロン

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