2014年8月22日金曜日

0903 マンション管理の実態を部外者が閲覧・判断するのは難しい

不動産仲介業者も買い主も、マンションの資産価値は管理組合、あるいは管理そのものにあるという認識がほとんどないのが実情だと思います。マンションを売却する際にも単純に築年数、立地に重きが置かれて売却価格を算定されてしまいます。


そんなときに「マンションの資産価値は管理組合で決まる」という記事を見つけました。中古マンションを購入する際には管理組合の実情をチェックしようという内容です。最初は「そうそう!」と思って読んでいたのですが、後半を読むにつれて「をいをい」と思ってしまった箇所も。
そんなところを当方の経験をもとに書いてみました。

ちなみに、これまでマンションは2住戸に合計17年居住、それぞれで理事になりました。現在は理事兼大規模修繕委員です。

「理事長が良識ある人かどうか」

良識ある人が役員になってくれる保証がなく、何度も理事をやりたがる人の中には私腹を肥やす人、管理規約などのルールを無視して自分の思い通りにやる人が少なからずいます。そんな人が出てきたときに、果たして記事にあるような5年任期制度だったら目も当てられません。
実際体験したのは理事長の修繕積立金横領、理事長が何の決議もせずに設備を導入したり小規模工事の契約をしたという経験があります。また、聞いた話ですが横暴な理事長の組合員による解任請求といった騒動も。


「適切な報酬制度」

役員報酬は役員になる、あるいは役員活動をするモチベーションになりますが、単に役員になっていれば何もしなくても報酬が手に入ると思う人もいるので、はがゆいところです。「適切な報酬額」の判断が難しいですね。
輪番制ならいつかは着任することですから無報酬もダメではないですし、無報酬だからやる気にならないかというとそうとも言い切れないです。要するに、やる気のない人は報酬があっても面倒くさがってやらないと思います。
ですので、報酬制度の有無で管理組合の善し悪しは判断できないんじゃないかと思うのです。(当方のマンションは無報酬制です。)


「管理組合理事会の議事録の閲覧」

たとえ仲介業者がいたとしても、管理人が管理組合理事会の議事録を区分所有者でない人にすんなり閲覧させるとは思えません。(全くいないとは言いませんが・・・。)
内容には個人間の争いごとの仲裁案件(上の階の住民がうるさい、など)があったり、マンション資産についての議論など部外者に出したくない情報がてんこ盛りなことが多いので、買うかどうか(新たに区分所有者になるかどうか)分からない人においそれとみせるかは疑問です。
閲覧請求して見せてもらったらラッキーと思ってください。また、見せてもらえなくても何か隠し事をしているということではなく、部外者から住民の情報を守るためかもしれませんので、その場合はしっかりした管理人、管理組合ということにもなるんじゃないかと思います。


「管理組合が主体的に管理しているマンションは日常管理費や大規模修繕費用が抑えられる」

管理組合が管理会社にお任せでなければ、日常管理費は確かに抑えられます。ただ、大規模修繕は「ある程度は」抑えられると言ったほうがいいです。
当方の事例で言いますと、現在は1,2年前と比べ資材のほか人材不足で人件費もそれぞれ2割以上アップしているとのことで(当方の工事監理会社・談)、抑えようにも抑えられない状況でした。
さらに消費税アップ分は修繕計画見直し時に明らかになっておらず、織り込んでいませんでした。5千万円の工事だとしたら、150万円の不足になります。
ただ、管理会社に工事監理から何もかも丸投げする管理組合より、管理組合が自ら動いて一般競争入札による工事監理会社、施工会社の選定に当たれば費用の圧縮は可能だと思います。


「管理会社が大手だと安心する人が多いが、大手ほど管理組合が自主性を発揮する余地が少ない」

独立系、デベロッパー系のいずれの管理会社でもそういう会社はありますが、すべてではないです。管理会社の担当者の人次第だし、管理組合役員のやる気次第です。
その管理会社が嫌なら、手続きが面倒ですが変えればいいだけの話。本気でやるなら「自主管理」という管理会社が一切介入しない方法もあります。かなり無謀な気もしますが、管理委託費分の管理費が浮きますね。オススメはしませんが、実際に自主管理を行っているマンションもあるそうです。


「表の管理組合について事前に聞いておきたいこと』のポイントと理由について」

この表のなかで「え?」と思った項目について挙げてみました。矢印の左が「ポイント」で、右が「理由(なぜ?)」の項目です。

「理事長のほか役員の人柄や人数→管理組合の質を決める最大の要素」
これ、いったい誰に聞けばわかるんでしょう?管理人さんしかいないですね。主観に頼るしかない項目ですので、判断基準としては危険だと思いますし、最大の要素かというと役員は交代しますので疑問が残ります。また、役員の人数の多少で質がわかるというのは初耳でした。

「理事会の頻度→毎月開くのは多すぎる」
何を根拠に多すぎるのでしょう?「何も議題がないのに毎月開くのは多すぎる」なら分かります。
当方のマンションは新築後数年は特に問題もないため年に3回程度でしたが、年数が経つにつれ、あるいはトラブルが発生した場合や、大規模修繕準備期間、その工事期間中などは決めることが多くここ1,2年は2週に1度は開催していますが、それでも追いつかずメールで意見のやりとりをしています。ですが、メールで議決できないため理事会を開催しているため、2週に1度になってしまいます。
この項目を信頼して我がマンションを訪ねた人がいたら「ひどい管理組合だ」と判断されかねませんね(汗)。

「理事の在任期間→1年交替はダメ。理事長は5〜7年が望ましい」
ただし理事長は自分の利益に走らない人に限る、という条件つきなら可です。ひどい理事長に3度も当たったので、そんな人に5〜7年の任期を与えるのは勘弁というのが偽らざる感想です。
また、業務を引き継ぐために理事は2年任期とし、1年ずつ任期をずらして半分の改選とするのも良いと思います。我がマンションはこれで支障なく回ってます。

「年度決算の繰越金→少ないのは管理会社がむだ遣いをしている証拠」
どうしてそう断言できるのでしょうか?
新築から1〜3年は何事もなく過ごしたので繰越金が多く出ましたが、年数が経つうちに修繕積立金を取り崩すまでもない小規模修繕、積雪寒冷地なのでロードヒーティングの灯油代の値上げや、大雪の年は灯油の大量消費による出費がかさんだり、増税があっても管理費を値上げしていないことによるものなど、要因は管理会社以外にもあります。
当方の管理組合は管理会社にお任せで各業者(植栽管理、日常の修繕工事など)を選定してるわけでもないですし、管理会社に何度も管理委託費の値引きもさせました。


「決算の費目に「管理員費」があるか→合算し「管理委託費」としている場合は不明朗」
一概に不明朗とは言えないと思います。管理会社と契約する際、管理委託費の内容を管理組合が精査できますし、するべきです。そこで内訳に管理員費が書かれているのをチェックできますし、書かれていなければ管理会社に指摘し、内容を聞くべきです。
それと管理委託契約の更新時には管理組合は管理会社から重要事項説明を受けますし、重要事項説明書および契約書を交わしますから、チェックしないわけがありません。管理組合の決算の費目で「管理委託費」として数字を丸めてあっても、ここでチェックができていれば問題ないのではないでしょうか。
それ以前に、まだ部外者である購入予定者や仲介業者に管理組合の決算書を見せるかしら?という疑問は残ります。

以上、当方はこの筆者の理想(あるいは実体験)から外れたマンションに住んでますが、かなりうるさい区分所有者が住んでおり、新築後5,6年は立候補による理事の就任、輪番制になった後も何人かは立候補しているという状況になっていますし、管理組合運営にもの申す人たちが多いです。住民の中には「同じ人が何年も理事をやるのは好ましくない」という意見の人もおり、理事長は5〜7年が良いなんて言ったら大反対しそうですね。

「マンションは管理を買え」と耳にすることがありましたが、実際は冒頭で述べたように中古物件の売買は築年数と立地、そして住戸内の状況だけで判断されているのが実情です。ですので、このような記事が出てくることに意義があると思います。全くの反対という意思はありませんが、それでもすべて鵜呑みにしてはいけないよ、そうでなくても問題ないし例外もあるよ、ということを当方の実体験を交えて書きました。

0 件のコメント:

コメントを投稿