2015年2月12日木曜日

1029 本屋で探検・番外編2〜「文庫女子」とか「女子に読んで欲しい文庫」とか

よもやの番外編2回目です。
2014年年末から2015年年初にかけて、一部で炎上していたらしい紀伊國屋書店のとある支店のプチ企画「本当は女子にこんな文庫を読んで欲しいのだ」フェアが速攻で終わったという話題がありました。
(まとめ記事はこちら

それに連座するかのように批判されていたのが「文庫女子」フェア。こちらはトーハンが出版社12社と連携して行ったもので、第1回と謳っているので今後もあるのかもしれませんね。

まとめ記事を読むと、特に紀伊國屋書店のものはまぁさもありなんという感じもしますが、「文庫女子」のほうは一定の効果があるんじゃないかと思うのです。


というのも、新刊ではない本で自分の好みに合った作品を見つけられるという点において少なからず意義があるんじゃないかと。
なかには新刊じゃないものもありますし、当方のように割と頻繁に文庫本コーナーを歩いていてもどうしても新刊メインに買うことになり(平積み・面陳で目立つため)、知らない作家の古い本はスルーしてしまいます。そのなかに自分好みのものがあるかもしれないと考えると、フェアというのはよい機会なのです。
ということは、「文庫女子」というくくりで無くてもいいという身も蓋もない結論になってしまいますが。

トーハンの記事を見ますと、「書店を訪れる女性客を文庫コーナーに呼び込むための仕掛けを強化」というのはそんなに女性が文庫を読まないという統計があるのかとか、「『文庫女子』フェアを行うことにより、『文庫を読むこと』の価値を上げ、文庫全体の売り上げ増を目指します。」というのは何も女子に限らずともいいのでは?という疑問が浮かびますね。それに文庫の売り上げを目指すなら「男女くまなく」だろうというツッコミは無しでしょうか?

近年、「山ガール」「狩りガール」、それより前は「リケジョ」ですか、「なんとか女子」という言い方が世の中に流布しているのでそれに便乗したようにも感じます。

余談ですが、私の知り合いの理系の教授(現在はすでに引退。女性)が、まだ「リケジョ」なんて言葉がない遥か以前に、教え子の女性陣から「女性だけの理系研究者の会を作るので会長になって欲しい」と言われ、「女子の会を作るなら、なぜ男子会がないの?平等じゃないし、おかしくない?」と突っぱねたという話を聞かされてリアクションに困ったことを思い出しました。

先のフェアに戻ると、その内容にもよりますが「逆差別」だとか「女をバカにしている」のもわからないでもありませんし、「不快である」と声を上げないと主催者側に伝わらないというのもあると思います。
男女で差別するものについては細心の注意が必要、あるいは性差を前面に出すようなものは場合によっては避けたほうがいいのかもしれません。特にそれが必然の要素でないものについては、なおさらなような気がしました。

ということで、この「文庫女子」に取り上げられる前に買って読んだ本を別途紹介しようと思います。川上未映子氏の本はすでに紹介してますね。
自分が読んで良かったのならそれはそれでいいのではないかと。

また余談ですが、1月下旬にジュンク堂書店さんの文庫コーナーにあった出版社主催の女性向けフェアで買った本ですが、先に書いたようにこのようなフェアが無ければ手にしなかった本だと思います。
もっとも、若い頃なら「なにさ、余計なお世話!」とひねくれて手にしてなかったかもですが。

角川文庫「女を読む。女が読む。2015文庫フェア」→千早茜:著「からまる」
ポプラ文庫「涙活」文庫→穂高明:著「月のうた」


「『涙活って・・・」と、いろいろツッコミどころ満載ですが、とりあえず「食わず嫌い」は避けて手にしてみようというのも「本屋で探検」の隠れたルールであります。

【紹介を書きましたのであわせてどうぞ
1038 本屋で探検17〜「からまる」(千早茜:著)

0 件のコメント:

コメントを投稿