2016年2月8日月曜日

1218 老猫と腎臓病(腎不全)5 皮下点滴その2 針を刺す時のコツなど

自宅で皮下点滴を始めてそろそろ1ヶ月になります。現在のところ毎日の点滴です。
途中に何度かできなくて病院に駆け込んだこともありますので、まだ1ヶ月まるまるやったわけではないのですが、ここ2,3日、これならいけるかも?というコツみたいなのが分かってきた気がします。

皮下点滴について今回で2回目のエントリですが、私と同様に動物病院で指導を受けてもまだ慣れない人の参考になればと思い記述しています。ご自身の判断だけで点滴を始めることのないよう、必ず動物病院で獣医師の指示・指導を仰いでください。

では、点滴器具以外に使用しているもの、点滴時の状況、点滴のコツについて書いていきたいと思います。

1.ひとり二役は苦しい!?

できれば家族など2名いたほうがいいですね。ひとりが押さえ役、もう一人が針を刺したり、液を注入する役。猫の性格にもよりますが、これを一人でやるのはなかなか至難の業です。私の場合はくだんの猫がわりとおとなしいからうまくいっているのだと思っています。

では、実際にどうやっているか?
次に必要な道具を挙げながら説明していきます。

2.必要な道具

これは猫の性格、人員にもよりますが、私ひとりの場合は、
  • 上部がパカッと開くキャリー
  • 洗濯ネット
押さえる役目の人間がいないので、以上がデフォで必要です。
猫が割と大きいので適当な大きさの洗濯ネットがなく、少し大きめの筒型(バスタオルを2枚ほど入れられるもの)にしたら、ネットに入ったまま逃げられました。

今は直径60センチくらいのボール状の洗濯ネットにしていますが、これも窮屈なため猫を入れると体が丸まってしまったり、顔面が押さえつけられ昭和時代のパンストをかぶった強盗みたいになってしまってかわいそうなため、全身を入れずに前足と頭にかぶせるだけにしています。
最初は逃げられましたが、お互いに慣れてきたせいか「保持」の役目は果たしています。

3.猫の確保

最近はキャリーを出す音や、点滴袋がぽちゃっと言う水音や、洗濯ネットを見ただけで逃げ出すようになりました。
しっかり起きていると追いかけっこが始まり、捕獲しても大暴れして点滴がうまくいかないことが多かったです。
そこで「寝込みを襲う」作戦に切り替えました。いったん起きてもふたたび寝ることが多いのでその機会をうかがい、小一時間横になった後にそーっと頭に洗濯ネットをかぶせてから前足も入れ、上部を開けたキャリーに入れます。

意外と大事なのは処置する人間がリラックスすることですね。なんとなく緊張していることは猫にも分かってしまうようです。自分もリラックスしながら猫にも声かけして撫でながら、点滴の準備を始めます。

だいたい逃げようとしますので、左手でしっかり首根っこを押さえます。必要に応じて左肘も使い、頭部を押さえてキャリーから出ないようにします。
とにかく猫が動かないことが、点滴がうまくいく一番のコツでした。

4.針を刺す時のコツ

私がなんとなく「こうじゃないかな?」と思ったことがいくつかあります。他のサイトにも書いてあることだったり、先生から指示されてやっと実践できたことではあります。
頭で分かっていても実際できるまでにはやはり場数を踏むしかなさそうです。

右利きなので猫の頭を左、おしりを右にして横位置にします。左手は3で書いたように猫をホールドします。

針の刺す位置は肩甲骨の下のあたり。下の写真の矢印部分です。
矢印よりちょっと肩甲骨寄り(上の方)を左手の親指、人差し指、中指でテント状になるように持ち上げます。

消毒用アルコールを少々多めに浸した脱脂綿で針を刺す位置(持ち上げた親指の下あたり)を皮を露出させる目的も兼ねて毛を濡らしつつ消毒します。

親指の下あたりに斜め45度か、もう少し下げて針をすーっと刺します。「せーの!」でブスッとやると猫がビックリして動くので、人間の採血の時くらいの速さで刺したほうがいいですね。
上の写真で肩甲骨に沿って赤線を引いてみました。ワクチンの注射は肩甲骨の間ですが、皮下点滴のときはそれだと首のところに液が溜まってしまい猫が動くと針を刺した穴から漏れ出てくる可能性もあるそうです。それに首回りがしばらく苦しくなるようですね。
この辺だとあまり痛がることはないです。

矢印より下になると痛点が集まっているのか、痛がることが多いです。
でも、丸まったり動いたりするとどこが肩甲骨のラインかわからなくなり、下に刺してしまうことも。
上の写真のときは痛がったり、液と一緒に血が多少しみ出したりしました。このときは慌てて動物病院に電話しましたが、獣医さんでも出血させることはあるそうです。
また、太い血管があるわけではないし血はすぐ止まるので余り気にせずに刺してくださいということでした。そのとおりに出血は1,2分もかからずに止まりました。

私はチョウチョ針を使っていますが、この針を根元まで刺します。チョウチョ針なら皮を持ち上げて根元まで刺しても変なところに刺さることはないのでこれも気にせずやってくださいとのことでした。垂直に刺さない限り筋肉には刺さりませんから、と。

猫の皮はかなり弾力性があるというか固い感じがしますので、最初はなかなか抵抗があるように感じます。
しかし、ここでしっかり針の根元まで入れないと点滴袋に圧をかけて注入したとたん、針が逆噴射したように外れてしまいます。
しっかり入れると針の翼状部分を押さえていなくても、猫さえ動かなければ針が抜けることはほぼありませんでした。

針は使い捨てのため、何度も刺し直してると切れ味が鈍ってきます。そうなるとなかなか刺さらなくなり猫も痛がります。経験的には2度刺してダメだったら針を取り替えています。(獣医さんから予備の針をいくつかもらってあります。)

また、何度も刺すと失敗した穴から液が漏れてくることもあるそうですので、私は2回失敗したら針を交換し、3回目でもダメだったら諦めます。時間を置いて病院に行って獣医さんにやってもらいました。
とにかく嫌がったり怖がって縮こまるので、うまく刺したと思ったら上の写真のようにずいぶん下だったということが多々あります。
これは本日(執筆日)、これまでで一番うまくいった写真です。猫も痛がることはなく、ひと袋250mlが全部入り、液もしみ出ることはありませんでした。

この猫の場合、ちょうど肩甲骨に沿って毛の色が変わっているので分かりやすいようにみえますが、縮こまると柄の位置が変わって分からなくなります。皮をつまむ前に指で肩甲骨をなぞって位置を確認し、先述したように肩甲骨の下のラインよりやや上のほうをつまむと的確なポイントに刺せるようです。

ひとりでやっていると猫が暴れるときは押さえるのが大変です。
利き手の右手に点滴袋をつかんでいますので、左手の親指、薬指、小指で背骨をまたぐようにして背中を押さえつつ中指と人差し指でチョウチョ針を押さえ、それでも猫が暴れる場合は左の肘で頭を押さえるか、あるいは母猫のように首根っこをかぷっと軽く咬んで押さえ込みます。

右手で点滴袋を握るように潰して圧をかけて液体を送り込むのですが、段々疲れてきます。
液が少なくなるとなかなか握り込めないので、袋の上のほうを歯磨き粉や絵の具のチューブでやるようにくるくると巻き込みながら小さくしていくと圧がかけやすくなります。
それでも疲れてきますので、壁などに押し当てて(針より上にするほうがいいです)圧をかけると楽です。

点滴が終了し針を抜くときは、先ほどの脱脂綿で押さえつつゆっくりと抜きます。そのまましばらく押さえていますが、先ほども書きましたように刺す位置が下の方になると液がしみ出すことが多かったです。ひどいときは2,3時間じわじわ濡れたままで、猫も気になってなめ続けていました。

体に入れるくらいですから猫がなめても大丈夫なんですけど、毛玉がたまってしまいますね。点滴してから毎日コンスタントに毛玉を吐くようになりました。それも明け方に・・・。
上の写真のように、背中に入った点滴の液はしばらくすると重力で下に降りてきます。お腹にたまったり、前足の外側付け根にたまったりします。やや歩きにくそうです。

以上、私の場合のコツを列記してみました。
とにかくまず猫が動かないこと、暴れないようにすること、縮こまらせないことですね。これが一番の成功への鍵です。

次に肩甲骨の位置を確認して肩甲骨のすぐ下あたりに針を刺すこと(2つ上の写真参照)、ぐっと皮を持ち上げて針を根元までしっかり刺すこと。これが今のところのうまくいくコツのような気がします。あとは場数をこなして慣れることでしょうか。

あまり気負わずに気長にいきましょう。

(追記)2016年2月9日
今日(2月9日)やってみて「ここをつまんだら的確なポイントに刺せそう」という感覚がつかめましたので写真で解説してみました。
肩甲骨の中間あたりに指を置いて皮を持ち上げる(引っ張り上げる)とうまく刺せました。


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